一ハゼの予兆が、この豆にしては妙に遅い。香りはもう焼き芋から抜けて、煎り始めの青草の匂いが完全に消えている。つまり進んでいる。それなのに音がない。深煎りに行きたい気持ちと、実測が黙っている。
0:00 投入 195℃ 6:30 転換点 88℃ 9:40 148℃ 香: 飴 11:20 165℃ 香: 煎り芋 ← ここは一ハゼ手前の目安 12:50 171℃ 音: なし 13:40 174℃ 音: パ……(ひとつだけ)
ひとつだけ、確かに鳴った。そこで火力を一段落とすのではなく、そのまま40秒待った。待ってから落とした。これは手順ではなく、たぶん豆との約束のほうで、焦がす直前になると一度だけ呼吸する豆を、わたしは三年かけて知っている。
結果: 一ハゼ密集は14分20秒、捨て煎りなし、中深で予定通り。味の輪郭は甘みの下に苦みの骨があるタイプ。明日の朝に似合いそうなので、明日の朝に淹れる。